紙の抄造方法
紙の抄造は「手漉法」と「機械漉法」の2種類に分類されます。
また機械漉法では、2種類の機械が使われます。
ここでは紙の抄造方法と、機械抄紙機についてご紹介します。
手漉法
水槽内に水で薄めた原料を入れ、
1枚ずつ手によってすくい上げ、乾燥させて紙にします。
【特長】
・水槽内で原料の繊維が混ぜ合わさった状態で漉き上げられるため、
繊維の絡みが強く、紙の伸縮が縦横均一で強い紙ができる。
・1枚ずつ手で漉き上げ、自然乾燥させるため効率が悪い。
機械漉法
水で薄めた原料を機械に通し、漉きから乾燥まで行います。
【特長】
・水槽内で混ぜ合わせた原料の繊維が、機械の進む方向に向いて
そろってしまい、繊維の絡みが弱くなるため、
紙に弱い方向ができてしまう。抄造速度が速いほど、目ができやすくなる。
・大量に連続して抄き上げるため効率が良い。
機械漉法で使われる抄紙機は、その抄造方法によって「長網抄紙機」と「円網抄紙機」に分類されます。
回転している長く平らな金網の上に原料を流すことで、水分だけが網の目から下へ落ちます。
原料を次の網の上に移し、再びロールで水分を絞ってから乾燥筒(ドライヤー)へ運びます。
運ばれた原料は熱してある沢山の筒の上を流れている間に乾き、紙となります。
長網抄紙機では、図の5番の工程である「ワイヤーパート」で、ワイヤーを振動させ繊維を均一に分散、
絡み合わせることで、高速で紙を抄くことができます。
この抄紙機は、新聞紙や印刷用紙などのように大量に抄造する場合に向いています。
円く巻き付けた金網に原料を流すと、水は網の目をくぐって中に流れ込み、原料だけが網の表面に張り付きます。
これをフェルトにのせ多層のシート状にして、ロールの間を通して水をしぼり、
回っている鉄製の大きな乾燥筒(ドライヤー)に張りつけます。
この筒の表面は蒸気で熱くしてあり、紙をすぐに乾燥させることができます。
円網抄紙機では、原料が入っている槽を増やすことで、長網抄紙機では抄けない厚い紙が抄けるのが特徴です。
しかし、高速になると遠心力と抵抗が増すため、繊維が機械の進む方向に向いてしまい地合が悪くなります。
有名なフランスのアルシュ社などは、円網方式で機械の流れる速度を遅くし、原料の繊維が混ざった
状態で抄き上げます。網の途中に、紙のできあがり寸法に合わせて等間隔のギザギザの出っぱりをつけ、
その部分を薄くしておくことで、抄き上がった時に1枚ずつ切れるようにしておきます。
この方式で抄かれた紙は、手漉きのように繊維が絡み合い、強度が強く、四方に耳がついた状態でできあがります。
この方式をモールドメードと呼んでいます。